ニュージーランドのロマネ・コンティ【ワインのエピソード】
様々なキャッチコピーのついたワインがあります。
フランス・ブルゴーニュ地方のロマネ・コンティは世界で最も有名な高級ワインということで、「〇〇のロマネ・コンティ」とか、「ロマネ・コンティと並ぶ〇〇」など宣伝文句としてよく使われます。そんな中でも、有名なキャッチコピー「ニュージーランドのロマネ・コンティ」で知られるアタ・ランギという生産者のピノ・ノワールのワインをご紹介します。
そもそもロマネ・コンティとは
フランスのブルゴーニュ地方コート・ド・ニュイ地区ヴォーヌ・ロマネ村にある特級畑(グラン・クリュ)の名前です。
また、その畑のブドウ、ピノ・ノワールから造られる赤ワインの名前でもあります。ブルゴーニュのワインは産地名=ワイン名となります。
ロマネ・コンティの畑の広さはわずか1.77ヘクタール。
通常ブルゴーニュでは一つの畑を分割して複数の所有者がいるのですが、ロマネ・コンティはドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC社)の単独所有畑(モノポール)なのです。
ということは【ロマネ・コンティ】という名前のワインはDRC社が生産したものしか存在しないのです!
言い換えると下記のエチケット(ラベル)のデザインしか存在しないということ!!
ロマネ・コンティは1本100万円を超える、ワイン愛好家でもなかなか飲むことができない憧れのワインなのです。
筆者は1958年ヴィンテージを一度だけ飲む機会に恵まれました…年を重ねて、若いころにはなかった魅力を備えたエレガントな淑女の様でした。
アタ・ランギとは
ニュージーランドを代表するピノ・ノワールの生産者で、【アタ・ランギ】とは先住民マオリの言葉で「新しい始まり、夜明けの空」という意味です。
1980 年クライヴ・ペイトン、妻のフィル、クライヴの妹のアリソンと彼女の夫オリヴァー・マスターズの4人によって設立されました。
妥協を許さぬ徹底した品質重視のブドウ栽培と醸造により、アタ・ランギのピノ・ノワールは瞬く間にニュージーランドのトップ・ワインと評されるようになりました。
ニュージーランドのロマネ・コンティと言われる理由は?
これが面白いお話なんです!!引用していますがちょっと文章を変えています。
1970年 代半ばのこと 。
オークランド 空港で税関職員をしていたMalcolm Abel(マルコルム・エイベル)氏は、ある日フランスから帰国した客の手荷物から 、ブド ウ樹の枝を発見!
聞けば、ブルゴーニュの 「ド メーヌ ・ ド ・ ラ ・ ロ マネ ・ コンティ」 の畑から 取ってき たものだという 。
エイベル氏は、これを帰国客から没収。
そこまではいいのですが…なんとエイベル氏!
自身でオークランド郊外でブドウ栽培 とワイン造りをしていたので、この枝を検疫通過後に、自分の畑に植えてしまったのです!!!
エイベル氏「へっへっへ…ついに手に入れたでーーー!」(想像です)
マーティンボロ ーでワイン造り を始めよう と し ていたアタ・ランギのクライヴ・パットン氏は、ピノ・ノワール栽培をし ているエイベル氏の存在を知り 、 同所でワイン造りを手伝います。
その見返りとして、この枝の来歴を知り 、枝をもらい受けたのです。
間もなくし てエイベル氏は急逝。アタ・ランギのブドウ樹のほとんど は、当初このエイベル氏のクロ ーンによるものだけで仕込まれていました。
現在は苗木屋を通じて 「DRCエ イベル」「アタランギ ・ クロ ーン」などと呼ばれて流通するようになっています。
特徴は、成熟がやや遅く 、骨格(タ ンニン )が しっかりとしており 、黒系のフルーツをもたらします。
結論!!
素性ははっきりしないものの、優れたクロ ーンのひとつとして、 ニュージーランドで位置づけられるようになっています。
一番おいしかったのは「アタ・ランギ」のクライヴ・パットン氏かな。
でもエイベル氏が没収した枝をそのまま捨てていたら、今のようにニュージーランドが高品質ピノ・ノワールの産地になっていないかもと考えると、夢がある話ですよね。
今すぐ飲みたい方はこちら!
ご紹介したニュージーランドのロマネ・コンティと言われるアタ・ランギのピノ・ノワールの銘柄はこちらです。
本物のロマネ・コンティは1本安くても100万円以上だけどこちらは1万円以下で手に入るのです。
ブドウの枝の歴史に思いをはせて飲んでみてはいかがでしょうか。
ニュージーランドのロマネ・コンティかぁ...飲んでみたいけど1万円もちょっと高いなぁと思う方はこちらの銘柄をどうぞ。
若木のブドウから造られるアタ・ランギの入門ワイン。5千円以下で上記看板ワインの片鱗を味わえます。
参考文献
「J.S.A.ソムリエ・J.S.A.ワインエキスパート 日本ソムリエ協会 教本2019」一般社団法人日本ソムリエ協会
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