ワイン超初心者が初心者になるための基礎入門【更新中】
ワイン超初心者向けの超基礎入門です。
ごく基本的な内容で、「ワインをちょっと知りたい」「ワインを学んでいきたい」「初心者からワインのプロを目指したい」そんな方に欠かせない知識が身につく内容になっています。
ワインは難しくない
ワインは知識がなくても楽しめるお酒。
でも知識があればもっと楽しめるお酒です。
それはまるで絵画のように…
絵画は見るだけで「綺麗」とか「不思議」とか様々な感情を抱くことがありますが、もしもその絵が描かれた背景や、画家の生い立ちなどを知ったら?
よりその絵画に関して想像がふくらみ、生き生きとして見え、倍楽しめませんか。
ワインも同じで、産地の歴史的背景や、エピソードを知り、生産者の想いに触れるとただの飲み物ではなく、趣味の一つとして長く楽しんでいける魅力があります。
トップ画のように、ピクニックでカジュアルな雰囲気で何も考えずに飲んでもOK。時には物思いにふけりながらワインに癒してもらうのもよし、何も難しいことを考えることはありません。好きな時に好きなワインを好きなだけ!
ぜひ楽しむために、ワインを学びましょう。
生産者とか産地とか語る前に、まずは基本から…!
ワインとは
ワインは醸造法による分類で4種類に分けられます。
発泡していないスティルワイン、発泡性のスパークリングワイン、アルコール度数を高めたフォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)、独特な風味をもつフレーヴァードワインがあります。
代表的なものはそれぞれ下記の通り。
スパークリングワイン
シャンパーニュ(フランス)、カバ(スペイン)など
フォーティファイドワイン
シェリー(スペイン)、ポート・ワイン、マデイラ(ポルトガル)など
フレーヴァードワイン
ヴェルモット、サングリアなど
一般的に「ワイン」という時には発泡していない赤ワイン・白ワイン・ロゼワインを指しますので、ここからはスティルワインについて説明していきます。
スティルワインとはブドウからできた醸造酒です。
そもそも醸造酒とは、原料を酵母の働きによってアルコール発酵させて作られたお酒。アルコール度数は13%前後のものが多いです。
下記図のイメージです。
ブドウの糖分→酵母が食べる→アルコールと炭酸ガスに変わる
炭酸ガスは外に逃げて行ってしまいますので、アルコールだけが残ってそれでワインができます。
ちなみに、密閉して炭酸ガスを閉じ込めると、炭酸ガスは時間をかけてワインの中に溶け込みスパークリングワインができます。
ワインの歴史
世界最古のワイン
世界最古のワイン造りは紀元前6000年頃、ジョージア(グルジア)のコーカサス山脈から黒海にかけての地域で始まったとされています。
さまざまな考古学者の発見によって裏付けられています。
現存する最古の文献
紀元前5000年から4000年頃の出来事が書かれたものとされている「ギルガメッシュ叙事詩」。古代バビロニアの英雄ギルガメッシュが洪水に備えて船を造らせた際、労働者にワインをふるまったとあります。
お礼のワイン??今も昔も変わりませんね。
ハムラビ法典とワイン
紀元前2000年ごろの「ハムラビ法典」にはワインの取引について「酒癖の悪いものにはワインを売るべからず」というルールが書かれているそうです。
ワイン文化の広がり
古代オリエントではじまったワイン造りは、メソポタミアからエジプト人、フェニキア人、ギリシャ人、ヨーロッパ全土へ伝わったとされています。
キリスト教とワイン
キリスト教のミサにワインは欠かせないものであり、キリスト教の布教と共にワイン造りは発展し、ヨーロッパ以外の新世界へも広がります。
最近はアジアでもワイン造りは広がっており、今後も新しい産地が生まれるかもしれません。
ワインの醸造方法
ブドウは大きく分けて2種類あります。
巨峰の様な皮が紫色の黒ブドウ。こちらは主に赤ワイン用品種。
ロゼワインも黒ブドウから造ります。
マスカットの様な皮が黄緑色の白ブドウ。こちらは主に白ワイン用品種。
赤ワイン(一般的な醸造方法)
原料は黒ブドウ。
除梗・破砕
収獲したブドウの枝の部分を取り除き(除梗)、果皮を軽く破る(破砕)
発酵・醸し
発酵槽の中にブドウを皮も種も丸ごと入れ、酵母を加えるとアルコール発酵が始まる。発酵温度は30℃前後。果皮からは赤い色素のアントシアニン、種からは渋み成分のタンニンが抽出される(醸し)。
圧搾(プレス)
タンクからワインを抜き取る。最初に流れ出してくるワインをフリーラン・ワイン、皮や種(果帽)をギュッと絞って得たワインをプレス・ワインという。
フリーラン・ワインは雑味のないピュアな味わい、それに比べプレス・ワインは渋みが強いため、味を調える程度にフリーラン・ワインとブレンドされることが多い。
マロラクティック発酵
ワインの中にはリンゴ酸というレモンの様な酸っぱい酸があり、その酸に乳酸菌(エノコッカス・エニ)が働きかけると、ヨーグルトのようなまろやかな酸が生じる発酵。
マロラクティック発酵の効果
・ワインの酸味がやわらげられ、まろやかな味わいになる
・乳製品の香りが生じて複雑性を増し、豊潤な香りを形成
・微生物学的に安定する
樽・タンク育成(熟成)
ステンレスや木桶で発酵されたワインをオーク樽に移し替えて1~2年間育成。
果皮や種を漬け込んで醸した赤ワインは、出来上がったばかりの時は渋くてえぐみがある。それを落ち着かせるために、木樽で育成させることが多い。木樽育成中は樽材の木目からわずかな酸素流入があり、ワインの味わいをまろやかに変えていく。
この間に澱引き、補酒を行う。
澱引き:育成中に樽・タンク等の下に沈殿した澱(果皮や種の欠片や不純物)を取り除く作業。澱を動かすと舞って、澱だけを取り除くのは難しいため、上澄みを他の樽に移し替える。
補酒:樽育成中は樽材の木目からわずかにワインが蒸発し、また澱引きによってもワインの量が目減りする。そのままにしておくと、空いた隙間に酸素が入り、酸化が促されるので育成中の容器は常に満杯にしておきたい。そのために減った分を補うこと。
その後、清澄・濾過し、瓶詰めへ。
白ワイン(一般的な醸造方法)
原料は通常は白ブドウ。まれに黒ブドウを果皮の色が出ないように圧搾して白ワインの醸造に用いることもある。
除梗・破砕
収獲したブドウの枝の部分を取り除き(除梗)、果皮を軽く破る(破砕)
圧搾(プレス)
白ワインの場合は先に圧搾し、果汁を抽出します。
果皮や種と接触させないので、色や渋みは出ません。
発酵・醸し
発酵槽の中に果汁を入れ、酵母を加えるとアルコール発酵が始まる。発酵温度は20℃と低く抑え、ブドウのアロマが揮発するのを防ぐ。
ワインによっては、まろやかな風味にするためにマロラクティック発酵を行うこともある。
樽・タンク育成(熟成)
ステンレスや木桶で発酵されたワインをオーク樽に移し替えて樽育成することもある。
白ワインの場合は果皮や種を漬け込んでいないので、出来上がったばかりでも渋くてえぐいということはない為、しばらく落ち着かせて清澄・濾過し、瓶詰めする場合もある。
ブドウの種類
ここでは、4大品種と言われる有名品種とその特徴をご紹介します。
ただ、ワインは教科書通りに行くそんなに単純なものではありませんから基本的な特徴だと思ってください。
同じ品種でも、産地によって特徴が異なります。
例えば冷涼な産地のワインはアルコールが軽やかで、酸味が際立つ。温暖な産地のワインはアルコールが高く、果実味が豊かで、酸味は穏やかになりやすい。
温暖な産地の方が果実がよく熟すように、産地による特徴の違いはブドウの成熟度によります。
赤道に近い産地程、温暖だと考えてください。
黒ブドウ
カベルネ・ソーヴィニヨン
主な産地:フランス・ボルドー地方/アメリカ・カリフォルニア州・ナパ、ソノマ/オーストラリアなど
特徴:濃い色調で、フルボディ(しっかりめ、重め)、長期熟成タイプのワインが多い。渋みしっかり。
相性が良い料理:牛肉のステーキ(特に脂身が多いもの)
カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴が感じられるワインはこちら
ピノ・ノワール
主な産地:フランス・ブルゴーニュ地方/アメリカ・オレゴン州/ニュージーランドなど
特徴:淡い色調、一言でいうとエレガント。酸味があり、渋みは控えめ。比較的高価なワインが多い。
相性が良い料理:鶏肉、鰹のたたき
ピノ・ノワールの特徴が感じられるワインはこちら
白ブドウ
ソーヴィニヨン・ブラン
主な産地:フランス・ボルドー地方・ロワール地方/ニュージーランドなど
特徴:レモンやグレープフルーツ、フレッシュハーブの香り、温暖な産地ではトロピカルフルーツの香り。爽やかな酸味。
相性が良い料理:スモークサーモン、ハーブのサラダ
ソーヴィニヨン・ブランの特徴が感じられるワインはこちら
シャルドネ
主な産地:フランス・ブルゴーニュ地方/アメリカ・カリフォルニア州など
特徴:冷涼な産地では柑橘フルーツの香り、温暖な産地ではトロピカルフルーツの香りになる。木樽との相性がよく、木樽熟成したものトースト、ヴァニラ、アーモンドのような香り。
相性が良い料理:鶏のクリーム煮、甲殻類
樽香ありのシャルドネの特徴が感じられるワインはこちら
ワイン産地
旧世界と新世界
旧世界とは一言で言うとワイン造りの歴史が長い国のこと。
フランスやイタリアなどヨーロッパ諸国のワインのことを指します。ヨーロッパのワイン造りの歴史は紀元前にまでさかのぼります。
新世界とはワイン造りの歴史が浅い国のこと。浅いと言っても数百年の歴史があります。「大航海時代に植民地化に伴ってワイン造りが伝わった国」と一般的に定義されています。
旧世界
フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ギリシャなど
新世界
アメリカ、カナダ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、日本など
ワインと料理の合わせ方
ワインは料理と合わせることでもっとおいしくなるお酒です。
ワインと料理の相性がピタリと合うことを詩的に「マリアージュ(結婚の意)」と呼びます。
マリアージュにはいくつかのコツがあります。
それぞれ見ていきましょう。
同じ要素で合わせる
色を合わせる
・赤ワインと赤身の肉(牛、仔羊、鴨など)
・赤ワインと赤身の魚(マグロなど)
・白ワインと白身の肉(豚、鶏など)
・白ワインと白身の魚(鯛、ヒラメ、キスなど)
・ロゼワインとピンク色の食材(サーモン、豚、ピンクペッパー、エビなど)
香りで合わせる
・樽香があるワインと、トーストや炒ったナッツの香りがある食材(グラタン、スモークした食材など)
・スパイシーなワインと黒コショウやハーブをなどのスパイス
・腐葉土やキノコの香りがある熟成ワインと、根菜、キノコ類(ゴボウのピュレ、キノコソース)
・バターなど乳製品の香りがあるワインと、乳製品を使った料理(バターソテー、クリームパスタなど)
味わいで合わせる
・酸味があるワインに酸味のある食材やソース(柑橘類など)
・シンプルな味わいにワインにシンプルな料理
・複雑な味わいの料理に複雑な味わいの料理
ボリュームを合わせる
・軽いワインに軽い料理を合わせる
・重めのワインに重めの料理を合わせる
相反する要素で合わせる
甘味と辛味
・甘口のワインに、辛い料理、塩気のある料理を合わせる(エビチリ、スパイスカレー、ブルーチーズなど)
ぜんざいの箸休めで塩昆布が添えてあることがありますよね。甘いものだけだと、口の中が甘ったるくなりますが、ちょっとしょっぱいものを口に含むと互いに引き立て合い、より食が進むというイメージです。
産地で合わせる
ワインは同じ産地の郷土料理と合わせるのは最も基本的な考え方です。
長い歴史の中で郷土料理と相性が良いワイン以外は淘汰されていくものです。
例えば、すき焼きや肉じゃがに日本の固有品種マスカット・ベーリーAのワインを合わせるようなものです。
参考文献
「J.S.A.ソムリエ・J.S.A.ワインエキスパート 日本ソムリエ協会 教本2020」一般社団法人日本ソムリエ協会
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